新技術情報

樹脂乾燥時に発生するVOCの除去 

背景

樹脂ペレットを加熱乾燥すると、 揮発性有機化合物(VOCガス)が発生します。このVOCガスは、乾燥機内部で徐々に濃度が上昇し、飽和状態に達すると析出し、乾燥経路の閉塞による乾燥不良や機器故障を引き起こす可能性があります。そのため、乾燥機内部でのVOCガス濃度の上昇を抑制し、析出による乾燥機への悪影響を軽減することを目指しました。

課題

樹脂ペレットの乾燥機には、乾燥時に発生する水分を吸着剤で除去して乾燥する方式があります。
図1は弊社のDFシリーズ乾燥機における吸着筒(ハニカム)の動作概要を示しています。吸着筒(ハニカム)が回転し、「乾燥エア中の水分を吸着」「再生エアにより水分を脱着し乾燥機外へ排出」を繰り返して、乾燥機内の水分を除去します。
しかしながら、水分の吸着を目的とする吸着剤は、主に細孔径4Å前後の親水性ゼオライトが使用されており、この親水性ゼオライトではVOCガスを吸着することができません。

本技術の説明

本技術では、従来の細孔径4Å前後の親水性ゼオライトとVOCガスを吸着できる細孔径6Å前後の疎水性ゼオライトを積層した吸着筒を用いて、水分とVOCガスを吸着します。これにより、乾燥機内部のVOCガスの濃度上昇を抑制し、ガス析出物起因による乾燥機への悪影響(乾燥不良、機器故障)を軽減します。
なお、乾燥機外に排出されVOCガスは、脱臭装置(ニオワナイザー:CFV-1RS)を用いることで分解除去され工場環境の改善が可能となります。 

 

効果

図2および図3は、PS(ポリスチレン)系樹脂およびPBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂を乾燥した際のVOCガスの吸着効果を示す実験結果のグラフです。グラフは横軸が運転時間、縦軸はVOCガス濃度を示しています。乾燥時の加熱によりVOCガスが発生しています。各樹脂において、吸着筒を通過する前後のVOCガス濃度変化を示しており、通過後のガス濃度が50-80%低下しています。

なお、乾燥機からの排気をニオワナイザーを使用して処理した際の効果は、こちらを参照してください。