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(2025年5月)

中期経営計画概要

1.2024年度中期経営計画の振り返り

2025年3月期計画

金額 売上高比
売上高 22,100百万円 100.0%
営業利益 650百万円 2.9%
経常利益 660百万円 3.0%
(親会社)当期純利益 400百万円 1.8%

2025年3月期実績

金額 売上高比
売上高 20,766百万円 100.0%
営業利益 984百万円 4.7%
経常利益 1,033百万円 5.0%
(親会社)当期純利益 576百万円 2.8%

世界経済は、欧米における高インフレの鎮静化を背景に底堅い動きが見られたが、中国景気の失速や、各地での紛争の長期化等の地政学的リスクの高まりもあり、先行き不透明な状況が続いています。とりわけ、米国新大統領就任後は、その動向に世界経済が翻弄され、不透明感が高まっています。このような情勢を背景に、設備投資を手控える動きが見られ、2024年度の連結売上高は計画22,100百万円に対して1,334百万円減の20,766百万円となりました。

日本セグメントは、射出成形機の受注に回復の兆しが見られず、新規受注は苦戦しましたが、前年までの受注案件を計画どおり売上したことにより、売上高は計画14,075百万円に対して91百万円増の14,166百万円となりました。

東アジアセグメントは、中国景気の失速に加え、日系の電気自動車(EV向け)のLIB関連機器やスマホ・VR用レンズ関連機器への設備投資が大幅減となり、売上高は計画6,474百万円に対して1,187百万円減の5,287百万円となりました。

東南アジアセグメントは、中国企業による輸出強化・生産移管の活発化で苦戦する同地域の日系各社の設備投資が鈍化した影響により、売上高は計画2,389百万円に対して121百万円減の2,268百万円となりました。

北中米セグメントは、米国新政権の動向を警戒し、新規の設備投資には慎重な姿勢が見られましたが、老朽化した設備の更新需要があり、売上高は計画には届かなかったものの計画392百万円に対して34百万円減の357百万円となりました。

損益面について、売上高の減少と販売費及び一般管理費の増加があったものの、販売価格の適正化と生産効率向上により売上総利益率が改善したため、営業利益は計画650百万円に対して334百万円増の984百万円、経常利益は計画660百万円に対して373百万円増の1,033百万円、親会社に帰属する当期純利益は計画400百万円に対して176百万円増の576百万円となりました。

2.2024年度経営戦略の振り返り

(1)新規市場、成長分野における事業展開の強化

  • プラスチック以外の業界への用途開発及び人材の確保と育成
    • 異業種の展示会に出展、製品・ソリューションのPRと顧客キーマンとの関係を強化
    • カワタテクニカルセンターを活用した、潜在顧客からのテスト依頼に対応し、ノウハウの蓄積、用途開発に向けて活動を開始
  • 電池、食品、化粧品、化学等の新規販売分野の開拓、拡大
    • 国際粉体工業展、食品加工技術展、FOOMA JAPAN、化粧品製造技術マッチングフェアに出展
    • 日本食品機械工業会への入会
  • EV関連業界向けへの取組み
    • BATTERY JAPAN、日本ダイカスト展示会、INTERMOLD名古屋に出展
    • 全固体電池実用化に向け、微粒子コーディング技術の製品化を推進し、自動車業界を中心に問い合わせやテスト依頼が増加

(2)既存市場、既存分野での販売拡大と収益力向上

  • 省スペース、省人化、省エネルギーへの対応、サービス対応力の強化により差別化よる標準機の販売拡大
    • インドネシア製造会社で東南アジア向けチラーを開発し、先行してインドネシア国内で販売を開始
    • 主要機器の納入後定期フォローによるアフターサービスの強化
  • 当社製品の利点を訴求する提案資料やデータの作成
    • 商品紹介やメンテナンス方法などの動画コンテンツ作成
    • カタログやテストデータ等の販売促進資料の充実化
  • 押出成形分野を始めとするシステム案件への取組みの推進
    • 比較見積りの取得を通じた原価低減

(3)経営基盤の強化

  • コンプライアンス経営の強化を目的として内部通報規程を改訂し、全従業員に対してグループ行動指針とともに周知徹底を実施
  • BCP(災害リスク)と業容拡大(生産性の向上、研究開発、改造改良)への対応を目的とする子会社の本社工場建設・移転

(4)資本収益性を意識した経営の推進

  • 収益力向上
    • 販売価格の適正化と生産効率向上を通じた収益力の改善
  • 資産効率改善
    • 売掛金や棚卸資産など運転資金の圧縮、子会社間融資の実行やグループ内配当の見直しを通じたグループ内資金の有効活用による有利子負債の削減

3.事業環境と基本的な考え方

(1)事業環境

  • 欧米における高インフレの鎮静化を背景に底堅い動きが見られる一方で、貿易摩擦の激化への懸念もあり、IMF公表の世界の実質GDP成長率は2025年2.8%、2026年3.0%、2027年3.2%と勢いに欠け、緩やかな成長になると予測している。
  • また、中国市場の冷え込みが長期化しており、中国企業の中国国外に進出する動きが活発化している影響で、東南アジア市場を中心に日系企業の設備投資意欲が減退し需要が低迷している。一方で、インド市場への注目が高まり、インド向け投資が増加傾向である。
  • 足元の状況は芳しくないが、先進国を中心に生産年齢人口の減少を補うための省人化、省力化に向けた取組みや、生産設備の老朽化に伴う買替需要には期待感があり、中長期的には機器販売並びにサービスが回復するものと思われる。

(2)基本的な考え方

  • 中長期的視点で見ても、プラスチックは世界の人々の生活にとって欠かすことのできない素材であり、今後もさまざまな分野で需要の伸長が期待される。
  • 自動車関連、電子部品関連業界は、裾野も広く今後も伸びが期待できる業界であり、引き続き当社の主力業界として取り組む。特に、自動車の電動化、自動運転化、車体の軽量化、一体成形化(ギガキャスト)等の流れに対しては積極的に技術や資源を投入する。
  • 社会の変化に伴うタブレット、PC、スマホ、VR等の通信機器拡大、AI、IoT、5G等のデジタル化推進の動きに的確に対応する。
  • 地球レベルでの環境問題(脱炭素、使い捨てプラスチックの削減)に対しては、お客様の生産現場や自社の事業活動において、また、お客様が生産する製造物を通じて、社会へ貢献していく。特に、省エネルギー、バイオプラスチック、リサイクルの分野は当社にとってビジネスチャンスになり得ると考える。

4. 2025年度~2027年度中期経営計画

(1)中期経営方針

~世の中から必要とされる「優良企業」を目指す~

「より強靭な事業体の構築」

①ESG経営の強化

  • 環境・社会への貢献
  • 透明性の高い企業統治(コーポレート・ガバナンス)の実現
  • 全てのステークホルダーへの配慮
    (株主、従業員、販売先、仕入先、金融機関、政府・自治体、地域社会)

②少数精鋭かつ高収益体質の確立(地に足を付けた持続的な成長を図る)

  • 人的資本への投資(人材確保、研修体系の確立と運用)
  • 研究開発、技術力向上のための投資
  • 事業所等の最適配置と更新、能力増強、効率化のための投資
  • 省力化、省人化、システム化の推進
  • 資本効率の向上(適正な棚卸資産の維持と有利子負債の削減)
  • 安定的に当期利益10億円以上、自己資本利益率(ROE)8%以上の確保
  • 連結配当性向30%以上を基本として、自己資本配当率(DOE)2%台を維持

(2)中期経営戦略の骨子

①新規市場、成長分野における事業展開の強化(お客様のニーズや成長分野の拡がり等に対応するための取組み)

  • プラスチック成形関連分野で培った技術、ノウハウを応用して、電池、食品、化粧品、化学等の新規販売分野を開拓・拡大する。特に「混ぜる工程」に焦点を定め、高速混合機単品か、もしくはその前後を含めた「輸送・計量工程」をシステムとして提案する。
  • 高速混合機を軸としたプラスチック以外の業界(食品、新素材)に対しての具体的な用途開発及び人材の確保と育成
  • EV関連業界向けの新たな取組み
    • LIB関連(粉体関連、フィルム関連(材料輸送・供給、温度調節))
    • 一体成形化(ギガキャスト)に関する海外市場調査
    • 全固体電池実用化に向け、微粒子コーティング技術の製品化推進
  • 高度化する光学レンズ市場要求への対応
  • インド市場での事業強化に向けた調査

②既存市場、既存分野での販売拡大と収益力向上(既存の市場や分野でのお客様を堅守、拡大のための取組み)

  • 標準機(輸送機、計量混合機、高速混合機、乾燥機、金型温度調節機、チラー、プラスチック粉砕機)の販売拡大を目標とする。
  • 省スペース・省エネルギー・環境改善の実現に向けた操作性に優れた新機種開発と既存モデルの改善・改良、お客様に分かりやすい提案資料による訴求、内外グループ関係会社の製品・部品の相互補完、サービス対応力の強化等により差別化を図り、劣勢顧客やスリーピング顧客の掘り起こしと同業他社からのブランドチェンジを推進する。
  • 押出成形分野を始めとするシステム案件への取組みを積極的に推進し、売上高並びに利益の増加を目指す。
  • 先進国を中心とした生産年齢人口の減少に伴い、今後の省人化投資、生産効率化投資へ適切に対応するとともに、ユーザーの既納入機の買替需要を取り込む。

③経営基盤の強化(持続的成長を図るための経営基盤への取組み)

  • 透明性の高い企業統治(コーポレート・ガバナンス)の実現
  • コンプライアンス意識の徹底による誠実な企業活動
  • リスク管理の取組み強化とBCP対策への取組みの推進
  • 人的資本経営の推進
    • 優秀な人材・適正人員の確保
    • 心理的安全性の確保
    • 育成方針に基づく教育研修制度の充実
    • ダイバーシティ(多様性)への取組み強化
  • グループの相乗効果(シナジー)の発揮
    • 事業所等の最適配置と再構築
    • 各部門におけるグループ相互の連携強化
    • グローバル人材育成のための制度・運用とグループ間人材交流の強化
  • 業務の見直しとシステム刷新による作業の平準化、効率化推進
  • 当社事業活動の認知度向上を図り、事業成長につなげるための積極的な発信(展示会、HP、IR活動等)

④資本収益性を意識した経営の推進(収益力と資産効率の両面から、資本収益性の改善を推進)

  • 収益力向上
    • 中期経営戦略の取組み加速による、利益改善の前倒し
    • 付加価値確保に拘った既存事業の収益性改善と、高収益の新規事業育成
    • 収益安定化に向けた海外子会社の事業運営面の改革検討
  • 資産効率改善
    • 経常運転資金の圧縮(売掛債権の回収早期化や大型案件における前受金取引の拡大、在庫の適正化、生産リードタイムの短縮)
    • グループ内資金の有効活用

(3)2025年度中期経営目標数値

2025年度 中期経営目標数値

2026年3月期 2027年3月期 2028年3月期
金額 売上高比 金額 売上高比 金額 売上高比
売上高 18,600百万円 100.0% 19,500百万円 100.0% 20,300百万円 100.0%
営業利益 420百万円 2.3% 890百万円 4.6% 1,120百万円 5.5%
経常利益 410百万円 2.2% 900百万円 4.6% 1,130百万円 5.6%
(親会社)当期純利益 190百万円 1.0% 590百万円 3.0% 770百万円 3.8%

売上高、利益目標(2025年5月現在)