
デザイナーのように
間違えない、操作しやすい制御を
弊社製品の基本機能である乾燥する、計量する、混ぜる。その機能を最大限にするために機械設計が目標に定めた製品全体の動かし方をどうやって実現するか、それが制御設計である私の仕事です。
新製品の開発においてAutoCADで制御盤の設計図を描く所から、プログラムの作成、試作機の動作検証、社内審査の資料作成までを一貫して任されています。
動きの実現で一番大事なのは、弊社製品を使って作られる最終製品の品質を守ること。要求機能の実現だけではなく、操作画面のボタン配置は見やすく押し間違いのないように、よく使う機能は操作手順を最短になど、操作性の良さにも工夫を凝らしています。
最近では、文字を使わずに絵(アイコン)で必要な動作やトラブルの発生を表示することで、更にわかりやすく、を念頭に置いています。これにより操作間違いが減り、よりスピーディーな操作が可能になりました。また、色の見え方が異なる方でも無理なく使えるように、明るい色同士は隣接しないなど、デザインや配色にも心を配るようにしています。
入社前は、制御設計といえば製図やプログラミングだけするものだと思っていましたが、実際はエンジニアもデザイナー的な役割を担うということに驚きました。

「より安く、コンパクト」を実現。
IoT時代に向け、通信制御が新たなテーマに
お客様目線に近い立場にいるサービス部や営業部に開発テーマの重要なヒントやアドバイスをもらうことがあります。より安くコンパクトに、というのは基本ですが、より短時間で大量に、小さいサイズはそのままに生産性能を上げる動作工程の流れを制御的にどう創り出すかは制御設計の永遠のテーマです。例えば、モータの周波数を1ヘルツ単位で変えることで最初は勢いよく、後半から少しずつ速度を遅くして、最後は微調整しながら、まるで人間が手で計量するかのように無段階に速度を変化させて計量速度を早めようとする挑戦を始めています。
産業機器のトレンドは今後、膨大な機器データを活用するIoTの重要性が高まっています。そうなると通信速度やノイズの影響など、通信環境の諸問題も今までより重要なテーマになるでしょう。お客様のものづくりに、より密接した制御を実現する醍醐味を、味わっていくつもりです。
ワタシの解決エピソード
計量混合機であるオートカラーリミテッドを開発しました。文字通り、機能を限定するという意味で、主材料と粉砕材、マスターバッチと呼ばれる色材、その3種類だけを混ぜる新製品です。標準機であるオートカラーよりも容積を50%小さくするため、また価格も安くするために、部品点数を減らすのに苦労しました。センサをたくさん使って状況を検知すれば制御は簡単ですが、減らしたセンサの代わりに「想像力」で補いました。テスト解析で得たデータをもとに、「このタイミングなら、うまく制御できる」という予測の動きをプログラムで調整。また、材料を押し出す高価なモータもスクリューもなくし、掃除機のように貯蔵タンクから材料を吸い取り、お米のように升で容量を計る新たな仕組みを実現しました。升に入る主材料の重量に合わせて色材の量を調整する、名づけてオリジナルの「ファジー制御」が特徴です。今後、他の機械にも応用できる技術資産になり、やりがいも充実感も大きかったです。
1 Day Scheduleある1日の仕事の流れ
商品開発には人間工学や生物の動きが参考になることも多いですね。職場でも日常生活でも「この動きは使えるかも…」と、よく観察をするようになりました
プログラミングは大学で学んだC言語と違い、使いやすさもスピードも上がるラダー言語。動きを視覚的に置き換えやすい反面、信号処理が一方向ではないので常に全体の流れを把握するように気をつけています
My Reasonカワタを選んだ理由
日曜大工など子どもの頃からものづくりが大好きで、Asimoなど人型ロボットに感銘を受け大学ではロボット技術を学びました。ロボット技術は機械設計に制御設計、プログラミング、部品製作、実機テスト、と幅広く含んでおり、何でも対応できる基礎知識を身に着けることができました。カワタは担当者がものづくりに一貫して携われるため、私の経験を活かせると考えました。また、すぐに社会に影響を与え、貢献できるところも魅力に感じましたし、ロボットはまだ実用化に向けた研究段階ですが、世の中に溢れるプラスチック製品を支える仕事ならきっとやりがいを持てるはずだと考えました。社内見学では、先輩社員が皆とても優しく柔らかい雰囲気で、「自分がつくった機器を納品し、お客様の反応を直接見られてやりがいがあるよ」と教えてくれました。
チャレンジしたいこと
近い将来に実現したいのは、取扱説明書がいらないタッチパネルです。新たなデザインやアイコンを採用してどんどんタッチパネルを一新していますが、何をどうするか、その指標に掲げているのは「直感的な操作ができる」こと。最初に説明書を読まなくても、アイコンだけで機能がわかる。説明が必要なところは、「?」マークの注釈で確認できる。そうやって誰もがすぐに、簡単に使えて、どんどん習熟していけるように、と考えています。IoTが当たり前になる時代が到来しても、「直感的」は不変の合言葉になっていくと思います。幅広く自己裁量が認められ、仕事の進め方も一任されていて、こうしなさい、と押しつけられることもない。自分のやりたいことができる人にはとてもいい環境ですし、私も思う存分、やり切っていきます。